磯前星

磯前 星(いそまえ しょう)

出身:茨城県

出身校:茨城県立水戸第一高校

学部:医学部保健学科放射線技術科学専攻

ポジション:前衛(大学から)

磯前星の三年間について話そう。  大学一年生、彼は医学部放射線学科に次席で入学し、すぐに友達もでき、高校時代の同期に誘われ、すぐにこの部活に入った。鮮やかな大学生活を送るように思われた。陰りが現れたのは授業が始まってすぐのことだった。本大学の理系学生の誰もが乗り越えなければならない第一関門、自然科学総合実験(以下じかそう)の存在である。2週間ごとに提出しなければならないこの実験のレポートを、彼は書かなかった。手をつけたのは、最終締切日の前日である。彼は友人や先輩に片っ端から声をかけ、コントロールキーだけで3本のレポートを完成させた。その時の彼のレポートは拡大すると文字の輪郭がぼやけたらしい。そんなこんなで彼はじかそうを何とか乗り切ったのだが、徐々に彼の怠惰さが露呈してくる。秋、彼は酒を覚えた。といっても、酒は味が嫌いらしく、自分から進んで飲むことはない。周りに流されやすいうえ、味わいたくないと言う理由で、彼は強くもないのに酒を煽り、挙句、潰れて迷惑をかける奴であった。冬になると、彼の住処は同期の溜まり場となった。チューハイの空き缶が部屋の片隅に堆く積まれていった。  春になった。彼女ができた。相手は地元茨城の幼馴染だという。弱冠二十歳にして幼馴染との恋愛を叶えるという漫画の主人公のような出来事に皆が彼を見直した。遠距離恋愛となったが、毎日のように寝る前には電話をし、時には250kmもの距離を南下して会いに行くこともあった。この時の彼は生気に満ち溢れ、単位こそぎりぎりだったものの彼女の励ましもあったのか何とか耐え、充実した日々を送っていた。しかし、彼はやはり怠惰だった。次第に連絡を取ることが面倒になってしまった彼は睡眠を優先するようになってしまう。そもそも2週間に1本のレポート、1週間に2日の練習すらこなせない彼には、毎日の電話というルーティンワークは重荷だったようだ。夏が終わり、広瀬川の河川敷から味噌が香るころ、女は言った「友達に戻ろう」と。彼女と別れたことは勿論のことなのだが、彼には幼馴染との距離が離れてしまったことがショックだったようだ。ちょうどその頃、バイト先の店長に嫌味を言われたことがきっかけでバイトが嫌になり、彼は店長との個人LINEにふざけたスタンプを投下してバイトを辞めた。そして彼は飲食はデリバリーに頼り、暖房の効いた家に閉じこもってしまった。大学にも行かない彼は単位を落とし、留年が危ぶまれる4セメの終わり、彼が担当教諭と壮絶なやり取りをしたことは記憶にも新しい。AIを専門にする教授のレポートをチャットGPTで乗り切ろうと試みて案の定失敗し、また別の科目では担当教諭の温情に温情を重ねた再試に落ち続け、ついには評価を保留にしたまま進級するという前代未聞の荒技を成し遂げた。己の怠惰さで自らの首を絞めながらも、ここぞという局面ではやる気を見せ、コミュニケーション能力と生まれ持った人に愛される才能でなんとか堪えるところが彼の武器である。なぜそのやる気を正規の方法に注がないのか。  そんなこんなで留年を免れた彼は3年生になれた。医学部の3年生は忙しい。相変わらずレポートの提出は遅れ、教員とのメールのやり取りは続いてるらしいが、彼は頑張っている。図書館で夜遅くまで勉強しているという噂も聞く。新しく始めた塾講師のバイトも、生徒に舐めた口を聞かれながらも順調らしい。  彼の3年間について紹介してみたが、彼と部活について書くのを忘れていた。彼は元々後衛であったが、大学で前衛に転向した。その上、上からのサーブが入らないという理由でカットサーブに変え、全然切れていないが浅いカット、通称イソカットを繰り出す。イソカットには東北チャンプのレシーブをバグらせるほどの力がある。練習はサボってばかりだが、いつ見てもさほどパフォーマンスは変わらず、北大定期の前日は夜通しUNOに講じたものの、相手の団体メンバーを撃破した。  最後に。彼は3年間で何かを学んだのだろうか。気になったので、彼に聞いてみた。「自分に一人暮らしは向いていない」という答えが返ってきた。彼は万年実家暮らしだそうです。

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